【追記あり】高齢者の健康のために犬との暮らしをすすめることの違和感について

こんにちは!ドッグスリング専門店ervaのきせ(@tommykise)です。
去年「ペットとの暮らし」をテーマにしたセミナーに参加してきました。

獣医師やペット業界の専門家の話が聞けるので為になるだろうと思いきや、話題の中心が「高齢者の病気の予防、健康寿命を延ばすために高齢者に犬を新たに飼ってもらおう」というなんともザワつくもので・・・・

質疑応答では、かなり批判的な鋭い質問をされている方が何人もいました。そこで今回は、「高齢者が健康を理由に犬を新たに迎える」ことについてまだ違和感が残っているので勉強していきたいと思います。

高齢者は犬と暮らすことで健康になれるのか?

高齢者と犬

資料:mailonline

まず、高齢者が犬と暮らすことで本当に健康になるのかについて調べてみました。様々な記事に目を通した結果、そのメリットは基本的に以下があるようです。

・ 散歩で運動ができる
・ 認知症防止
・ ストレスの軽減
・ 自立した生活の維持
・ 生活習慣の改善
・ 孤独にならない
・ 散歩中に会話が生まれて社会との繋がりが持てる

認知症は分かりませんが、高齢者でないわたしも確かに愛犬達と暮らすことで、これらの恩恵は受けています。こんな調査結果をご覧ください。アメリカの国立衛生研究所National Institute of Health(NIH) が71〜82歳までの2500人を3年に渡って調査したところ、犬と暮らしていない同年代よりも、早く長く歩くことが出来、家の中でも活気があったとのこと。

また高齢者のみを対象とした調査ではないですが、心臓発作を患った大人421人で調査した結果、犬と暮らす人の方が長生きしているということが分かり、人間の循環器系の健康も改善がされるかもしれないという記載もありました。これはすごい。

実は、厚生労働省の調査で日本人の死因第2位と第4位に心疾患と脳血管疾患の2つの循環器系疾患が含まれています。

日本人の死因

資料:厚生労働省平成26年死因順位

また、世代別で70歳以上を見ても上記のグラフと同様に第2位に心疾患が多く見られます。

なるほど、これらの資料を見ると確かに高齢者が犬と暮らすことで健康的なメリットは多いにあると言えます。

犬が高齢者と暮らすメリットはなんでしょうか?

セミナーで言っていた、「高齢者が犬を飼うことで健康になる」というのは嘘ではないということが分かりました。

さて、今度は犬側のメリットについて調査していきたいと思います。

……

……

……調査報告なし!!

 

残念ながら様々検索をしてみましたが、犬側のメリットについて記載された文献を見つけることが出来ませんでした。人間第一主義かよこのやろう!

ちなみに、
「犬は人のために生きているんだから犬側のメリットなんて考えなくていい」
という意見があるかもしれません。

しかし、犬は家畜ではありません。現代の愛犬家達は犬をパートナー(家族の一員)として考えていることが分かります。こちらは先日の永江さんの記事より抜粋しました。

 

室内飼いが増えたと書いたが、日本においては2003年に室内買いと外飼いが逆転しているんですよ。

参照:landerblue

つまり、外飼いから室内飼いになったということから、

犬は家畜からパートナーになったということ。

以上のことから、犬を迎えるということはつまり養子を迎えることと同じなので養子には基本的人権がありますから、犬にも基本的犬権があって当然なのです。

犬の平均寿命は何歳なのか?

さて、基本的犬権を考えた時に何が最重要項目なのかを考えてみました。
犬は自活しませんので、一生人間に頼って生活をしなくてはなりません。そのため天命を全うするまで食住が安定するかということが最も重要なポイントになってくると思われます。

そこで、
犬の平均寿命を調べてみるこにしました。

東京都家庭動物愛護協会会長・須田動物病院院長の報告資料によると犬の平均寿命は15歳。1980年が2.6歳だったのでこんな短期間で約5倍になったなんてびっくり。

つまり、例えば
70歳の人が新たに犬を迎え入れたとして、
85歳まで犬の面倒をみることになります・・・・

 

って、普通に無理だろ。

 

毎日散歩に1時間以上行って、ご飯をあげて、時には病院に行って、トリミングに連れていったり、ペット用品を買いに行ったりピッチピチの若い?わたしでも大変な時があります。

でも、もしかして、
犬のお世話が出来ないというのは、わたしの勝手な思い込みで70歳以上も犬をお世話出来るぐらい元気でピッチピチ?なのかもしれません。

勝手な思い込みのないように、資料を探していると
厚生労働省にこんなデータがありました。

年代別受療率と死亡率

まずは、平成26年度の厚生労働省が出している病院の受療率からみていきましょう。
ドン!

受療率

資料:厚生労働省

入院も外来も60歳以上で各年代の約2倍以上なんですけど!!

しかも70歳以上から急激に増えています
わたしが犬なら震える。

次に死亡率も厚生労働省の資料にありましたが、わたしは数字が苦手なのでもっと分かりやすく解説していた保険マンモス株式会社さんの平成24年の厚生労働省の資料をグラフ化したものをご覧ください。

年代別死亡率

資料:保険マンモス株式会社

70歳以降で急激に増えてるし!!

しかも、同記事内で保険マンモス株式会社さんがこんなことを書かれていました。

日本で過去に売られてきた生命保険では、60~65歳になるまでの保障が手厚い反面、それ以降は保障が手薄になる商品、設計のものが多いという現状があります。

あかーん!!!
そもそも70歳以降は死ぬ人が多いのでサービスがありません。っていうことですよね。犬を迎えたその日に死んでしまうこともありえるってことです。

というわけで、犬側のメリットは

はっきり言ってない。

では、老犬を飼うことを考えてもいいと思います

セミナーの質疑応答時間で、「高齢者が新たに犬を迎えることは難しい」という意見が会場から専門家へと投げられました。

 

回答
「では、老犬を飼うことを考えてもいいと思います。」

 

は?なんですと!?
老犬ってさらにお世話が大変なんですよ!実際に介護中の方や、経験のある方の声をご覧ください。

はい、
老犬は高齢者におすすめできません。

ちなみに、去年掲載の朝日新聞太田記者の記事を見つけました。

「高齢者の健康寿命を口実に「子犬を売りたい」業界の倫理観」

太田さんの行かれたセミナーは私が受講したものより前に開催されたもの。こんなに鋭く指摘されているのに、わたしのセミナーでもまだ同じことを語っていたんですね。犬の飼育頭数が減っていることにペット業界が危機感を感じた結果、人口の多い高齢者に子犬を売ろうという何とも短絡的な考え方です。他に出来ることあるだろ!!

まとめ

犬を単なる健康器具として迎えるのはやめましょう。

今回の調査を通して高齢者が新たに犬を迎えるのはかなりおすすめ出来ないことが分かりました。ただし、高齢者が新しく犬を迎えるのではなく家族と同居していて家族全員で迎えるということであれば話は別です。

あくまでも今回は、セミナーで「高齢者の病気の予防、健康寿命を延ばすために高齢者に犬を新たに飼ってもらおう」と主張していた件について調べましたので誤解しないでくださいね。

そして、仮に高齢者に健康になってもらおう!ということであればこんなものをすすめてはどうでしょうか?
時速0.5kmから選べるので軽いお散歩ぐらいの運動はできますよ!

人も犬も住みやすい世の中になりますように。
それでは、本日も愛犬とステキな1日をお過ごしください!

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