個人宅の多頭飼育崩壊はなぜ起こるのか?レスキュー現場で感じたこと

こんにちは!ドッグスリング専門店ervaの黄瀬(きせ)です。2日前にはじめて個人宅の多頭飼育崩壊のレスキューに行ってきました。犬の保護活動をしている以上、現場に行って自分の目で見たいと前から思っていました。

今ままでネットやテレビで多頭飼育崩壊の写真や映像を見ていた時は、「避妊・去勢しないから増えるんだ!犬を迎えたなら責任を持つべきだ」と思っていました。

でも、今回のレスキューを通してその考えはがらりと変わりました。
多頭飼育崩壊には繁殖業者と個人の崩壊があります。繁殖業者はそもそもお金儲けが目的で、崩壊の理由は「売上を上げるために繁殖しまくる→予想より売れなった→資金が回らない→犬達を手放す」が大筋なので理解ができます。

反対に個人宅はどうでしょうか?
今回レスキューに行ったお家がそうでしたが、お金儲けで増えてしまったのではありません。そして、「避妊・去勢をしなければならないとか、犬に対して責任を持つべきだ」といった、いわゆる「常識」にも当てはめて考えることができない気もしました。

前置きが少し長くなりましたが、今回のレスキューの一連の流れと共に、「なぜ個人宅で多頭飼育崩壊は起こるのか?」を自分なりに紐解いていきたいと思います。なお、本記事はあくまでも一例であって、わたしが現場に行って感じた範囲で書きます。

いざ、レスキュー

レスキュー現場に到着後、はぴねすDOG代表の間柴さんより段取りの説明がありました。お宅にお邪魔した後、わたしの使命は以下でした。

1) 全頭首輪とリードの装着
2) 首輪に番号をつける(名前がないため一時的に)
3) 各車に乗せて団体や一時預かり者に届ける

はじめての現場だったこともあり、鼓動を強く感じました。冷静になれ、冷静になれ・・・・

そしていざお家の中へ!ドキドキしながら玄関のドアを開けました。瞬間・・・・うおぉぉぉ激臭!!!匂いが脳まで突き刺さります。床には糞尿が散らばり、ノミだらけ。犬の状態はというと、毛がぐるぐるにもつれ、肛門にはうんちが絡みまくりで、爪は伸びっぱなしのため肉に刺さっている子もいました。

台所やリビングは犬達の生活スペースになっているようで、ビニールシートやらダンボールが敷かれていました。

すると、部屋の奥から

「遠くから申し訳ありません。ありがとうございます。」
と、なんとも丁寧でやさしい女性の声が聞こえてきました。

え?あなたが飼い主さんなんですか・・・・?
と思うぐらい、物腰のやわらかい方でした。

全然オラオラ系の人ちゃうやん!!
まぁ、メディアでは極端な例が目立って取り上げられますが、その影響もあって、私は飼い主さんのことをてっきり眉間にしわを寄せた、厳つい方だと思っていました。

えっ、なんでこんな人が犬を増やしちゃった?
室内も犬達も不衛生な状況でなんで平気なの?

正直、現場の不衛生さよりもこの女性の方が衝撃的でした。

飼い主さんには全く悪気がなかった

また、犬達のことは、「心の支えだったんです」とか「あなた達に任せたらもっと幸せになると思って安心してます」とおっしゃっていました。犬達が家を出る時は寂しくて涙を流していました。でもそんなやさしそうな飼い主さんですが、印象とは反対に、時々不思議な発言も聞こえてきました。

「近所から色々言われるんです(犬について)けどね、
そんなん気にしないんです」

・・・・・はいぃぃ!?!?

自分が近所に迷惑をかけているという認識が全く感じられません。むしろ犬達を守ってる感じ・・・?また、犬達を苦しめてやろうとか一切感じません。ん・・・・?一体どいうこと・・・・?

多頭飼育崩壊は結果であって、そこには理由があった

レスキュー後も、ずっと考えました。が、どうしても分からず、いつもお世話になっているコンサルタントの永江さんに話してみました。

永江さん「心理状態がゴミ屋敷の件と似てるから調べてみたら?」

一瞬、???という感じでしたが、確かに「悪気がない、他人に迷惑をかけている認識がない、不衛生でも気にせずに生活できる」というのは、テレビでよく見るゴミ屋敷の住人と似ています。

そして、調べてみると、精神科医の森川すりめい先生の記事が見つかりました。

周囲の人が、「人に迷惑をかけていることがわかっていない」「わざとやっている」と、状態だけをみて決めつけてしまっていることもあります。「何度注意してもわからないんだ」と言う方の中には、たまってしまう理由を本人に聞いたことがない人もいます。
何度も書きますが、ごみがたまるのは結果であって、その理由を解決しなければ、ごみ屋敷問題は解決しません。
理由は、本人に聞くしかありません。

参照元:
https://news.yahoo.co.jp/byline/morikawasuimei/20140601-00035887/ YAHOOニュースより(検索日2017/11/1)

本人の理由・・・・?
つまり、ゴミ屋敷が生まれるまでにその過程(理由/原因)があったということ。ゴミ屋敷になったというのは原因の結果。へー!!そんなこと考えもしなかった。

で、「どんな人がゴミ屋敷を生み出してしまうのか」と、その「解決策」も書かれてありました。

1) 力が落ちた人 ご高齢者や、仕事の過労、気持ちの落ち込み、がんばることができなくなった人などが考えられます。また、知的障がいや統合失調症などの障がいを持っていて両親がご高齢になったか亡くなったなどで、片付けを手伝ってくれた人がいなくなった場合が考えられます。

≪解決≫このような場合は、ごみ捨てを手伝うことと散らかさない工夫を手伝うことが重要です。

2) 大事なものへのこだわりが強い人 強迫性障がいや自閉症等を持つ人の場合で、そうではない人にはすぐには理解できない、本人にとってとても重要な物であることがあります。人によっては大事な数字が書いてあったり、他人にとってはごみなのだけれども、本人にとっては芸術的な好みがあること、捨てることが不安でしかたがない場合などです。本人はどうしても捨てたくないのでどんどん物が増えていくことになります。知っておきたいことは、多くの場合、ごみと、本人にとって大事な物は、本人は区別がついているということです。ただ、あまりにも物が増えてしまったので、ごみと大事なものが混在し、どこから手をつけたらいいか分からなくなっている場合が多いです。

≪解決≫本人にとって何が大事なものなのかを、支援する人がよく理解できるまで本人に根気よく何度も話を聴きます。本人が、この支援者が完全に自分を理解してくれた(大事なものを捨てない人)と実感できると安心することができて、片づけを手伝わせてくれるようになります。

3) 大事なものとそうではない物の区別が難しくなった人 認知症のタイプによっては、同じものをひたすら集めてくるようになる人がいます。全部が自分にとって大事なものなので、他者に勝手に捨てられると混乱します。また認知機能の低下によって、大事なものとそうではないものの区別が難しくなることもあります。捨てるという動作や計画ができなくなったり、捨てることの意味が分からなくなる人もいます。

≪解決≫認知症診療ができる医師が診察して治療を開始したり、認知症のケアが上手な専門家が本人の世界を大事にしながら手伝ったりすると解決策が見つかります。

参照元:
https://news.yahoo.co.jp/byline/morikawasuimei/20140601-00035889/ YAHOOニュースより(検索日2017/11/1)

なるほど・・・。本人が深く悩んでいたり、悩みすぎて悩んでいる状態が普通になってしまっている可能性があるということか。って、これ誰にでも起こるかもしれない?

さらに調べていくと、多頭飼育崩壊について今年9月掲載されたScienceの記事を見つけました。
ブラジルのPontifical Catholic University of Rio Grande do Sulの心理学者Tatiana Quarti Irigaray氏とその同僚が33件の多頭飼育の家を訪問、平均して41頭の犬猫のいる家庭の調査をしました。ここに飼い主の心理的理由が掲載されています。

The team’s interviews revealed that hoarders tended to start collecting their animals after a big disaster in their lives—the death of a child or the loss of a job, for example—a characteristic also not shared with generalized hoarding disorder.

訳:インタビューの結果、多頭飼育者達が動物を収集してしまうのは「本人の人生で大きなショックがあった後で、例えば子供の死や仕事の喪失などがあった

また、こんな人たちだったようです。

Seventy-five percent were considered low-income, 88% weren’t married, and 64% were elderly—so far consistent with generalized hoarding disorder.

訳:75%が低所得者、88%が結婚していない、64%が高齢者であった。

ちなみに今回レスキューしたお家の飼い主さんは、寝たきりで生活保護を受けていて、旦那さんが亡くなった後から犬が増えてしまったとのことでした。犬が出て行った後はすぐに病院に入院されます。

こんなことを言ってしまうと、「生活保護で犬飼うなんてどいうことだ」というご意見がありそうですが、それは「避妊・去勢をなんでしないんだ」と同様で、表面的なお話になってしまいます。

多頭飼育崩壊とは、結果であって
そこには何かしらの深い原因があるかもしれない
ということ。

もちろん、わたしが体験したことはあくまで一例であって、全てに該当しないかもしれません。しかし、こういった情報を自分の中に取り入れて能動的に考え続けることで多頭飼育崩壊の根本がつかめ、本当の解決策が見えてくる気がしました。

犬達も助けが必要でしたが、
飼い主さん達も助けが必要なのではないかと・・・。

さーて、かわい子ちゃん達の里親募集です!

首輪、リード、番号をつけて、さぁ!行こうという時、レスキュー犬達は名残惜しさも全くなく、正直かなり喜んで外に出ました。がんばったね。み〜んなしあわせにな〜れ!!

レスキュー犬8頭は現在、はぴねすDOGと兵庫県は尼崎にあるドッグビューティサロンのELLEさんにて里親募集しています。申し訳ありませんが、はぴねすDOGは保護犬のお届けの関係もあり、兵庫県・大阪府・京都府にお住まいの方限定となります。

 

↓ 8頭の写真はこちら

●以下2頭は、ドッグビューティサロン ELLEさんにご連絡ください。

→ 06-6431-3838 受付時間10:00-19:00 不定休

 

●以下の子達は、はぴねすDOGさんにご連絡ください。

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