こんにちは!ドッグスリング専門店ervaの黄瀬(きせ)です。こんなニュースを読みました。
国内のペットショップなどで販売される幼い子犬、子猫の健康を守るには、いつまで生まれた環境で育てるべきなのか――。欧米では一般的な「8週間」を日本でも導入するか、国が検討を始めた。
参照元: http://www.asahi.com/articles/ASKCF577PKCFUTFL00M.html 朝日新聞DIGITALより (検索日2017/11/28)
来年2018年に動物愛護管理法の見直しがあります。その前は2013年に改定があり、8週齢(8週齢に満たない子犬の販売禁止)についても話題となっていました。
現在の動物管理愛護法の第二十二条の五には「犬猫等販売業者(販売の用に供する犬又は猫の繁殖を行う者に限る。)は、その繁殖を行つた犬又は猫であつて出生後五十六日を経過しないものについて、販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない。」と書かれてあります。
え?!もうすでに56日やん!!
と思いきや、環境省のここに記載されている通り、
犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む。)・展示の禁止(第22条の5関係) なお、「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律で定める日までの間は「49日」と読み替える(附則第7条関係)。
参照元:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/revise_h24.html環境省より(検索日2017/11/28)
現状では49日となっています。なんだよ読み替えるって!と思わずつっこんでしまいます。
で、冒頭のニュース記事には欧米先進国では8週齢があるとのことなので
そこで米、英、フランス、ドイツなど多くの欧米先進国は「8週齢規制」を法令で設け、8週齢(生後56~62日)までは、子犬や子猫を生まれた環境から引き離すことなどを禁じる。
調べてみました。でも、わたしはフランス語やドイツ語は読めませんので英語圏のみとなりますが悪しからず。
アメリカ
(参照元: https://www.flickr.com/search/?text=USA%20flag flickrより)
アメリカの法律は連邦法と州法から成り立っています。(と、ウィキペディアさんが言ってました)まずは、連邦法であるAnimal Welfare Actを確認しましたが、8週齢についての記載はありませんでした。
ここで、1州1州確認していかなあかんのかと半分絶望的な気持ちになりました・・・・が!!Michigan State Univercityから、全州まとめた表がありました。ありがとうー!!しかも発行年は2017で今年。
まず、アメリカ全土で8州齢が制定されているかというと・・・
The answer to this question, like just about any question in law, depends on where you live. Approximately twenty-five states have laws or administrative regulations that state how old a puppy must be before it is offered for sale or adopted out to an owner..
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訳:あなたがどの州に住んでいるかによって異なります。約25の州には、子犬の販売または養子に出せる年齢を、規定する法律または行政規定があります。
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全土じゃないんかい!
同記事に記載してあった、州のリストを書いておきます。
1. アリゾナ州
2. カリフォルニア州
3. コロラド州
4. コネチカット州
5. フロリダ州
6. ジョージア州
7. イリノイ州
8. インディアナ州
9. カンザス州
10. ルイジアナ州
11. メイン州
12. メリーランド州
13. マサチューセッツ州
14. ミシガン州
15. ミネソタ州
16. ミズーリ州
17. ネブラスカ州
18. ネバダ州
19. ニューヨーク州
20. オハイオ州
21. オクラハマ州
22. ペンシルベニア州
23. テキサス州
24. ユタ州
25. バージニア州
26. ウィスコンシン州
書き出してみると26州ありましたが、そのうちメーン州、バージニア州、ウィスコンシン州は8週ではなく7週(49日)でした。
次にイギリス。
イギリス
イギリスはというと・・・・ややこしい。非常にややこしかった・・・。わたしは法律の専門家でもございませんので、間違っていればご指摘ください。
まず、イギリスは4つの地域(昔はそれぞれ独立した国だった)から成り立ちます。
(参照元: https://haikara.news/society/brexit04 オオサカハイカラニュース!より)
で、法律の種類はというと、こちらもウィキペディアさんに書いてありました。
法制度は、イングランド法、スコットランド法および北アイルランド法[要曖昧さ回避]の3つの法体系から構成されている
イングランド法はイングランドとウェールズに効力があって、スコットランド法はスコットランド、北アイルランド法は北アイルランドに適用されます。ということをまず理解してください。
調べていったわけですが、まず、環境省にこんな資料がありました。
最初からここを見れば良かった・・・
イギリス全土で生後8週間に達してない犬を販売してはならない。
と書かれてあります。これだけ見ると、ふむふむイギリスさすが動物先進国!と思うのですが・・・
情報が正確かどうかは(環境省に掲載されてるけど・・・)、本家大元を確認しないと分かりません。
上記表にある根拠法令「犬の飼養および販売に関する1999年法」(Breeding and Sale of Dogs (Welfare) Act 1999)をイギリスの法律全文を読めるこちらで確認しました。該当部分のみ掲載します。
8 Sale of dogs.
(1)The keeper of a licensed breeding establishment is guilty of an offence if—中略
(c)he sells a dog which is less than eight weeks old otherwise than to the keeper of a licensed pet shop or a licensed Scottish rearing establishment,(2)The keeper of a licensed Scottish rearing establishment is guilty of an offence if—
中略
(c)he sells a dog which is less than eight weeks old otherwise than to the keeper of a licensed pet shop, or
(d)he sells a dog which, when delivered to him, was wearing a collar with an identifying tag or badge but is not wearing such a collar when delivered to the person to whom he sells it.
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訳:犬の販売に関して
(1) ブリーダーの資格保持者は下記の場合に有罪となります。もし・・・
(C)資格保持しているペットショップ、スコティッシュ飼育資格保持者以外への8週間以下の幼犬の販売をした時。
(2)スコティッシュ飼育資格保持者は下記の場合に有罪となります。
(C) 資格保持しているペットショップ以外への8週間以下の幼犬の販売時、または
(D) 納品時に鑑定タグ、バッジをつけた首輪を装着していた犬を購入者へ納品する時に外した場合。
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なるほど、確かにイギリスでは禁止されているのだなと確認できたわけですが、
最後に補足がありまして、
This Act does not extend to Northern Ireland.
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訳:この法令は北アイルランドには適応されません。
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イギリス全土ちゃうやーん
あと、この法律は国から認可されたブリーダーに対してなので、認可されていない悪徳の繁殖業者(パピーミルなど)を裁くことができません。え?イギリスはそんなのいないはずって?います。います。今年の2月にニュースで話題になっていました。
Tough new laws will ban the sale of puppies under eight weeks old
The sale of puppies under eight weeks old is to be made illegal under plans to crack down on so-called backstreet breeders and puppy farms.
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訳:厳しい新しい法律は、8週間未満の子犬の販売を禁止する
8週齢以下の子犬の売却は、いわゆるバックストリートブリーダーやパピーミルを摘発する計画の下で違法とされる。
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法律の本文にも書いていなかったので、まだ検討段階だと思いますがこれが決まれば誰であっても8週齢以下の子犬販売は禁止になります。あっ、でもこれはイングランド内でのお話です。
特に冒頭のニュースには記載はありませんでしたが、ついでにカナダとオーストラリアも調べてみましょう。
カナダ
動物関連の法律はないかと探してみたら、ウィキペディアに書いていました。
Animal welfare and rights in Canada
Animal welfare and rights in Canada Canada is about the laws concerning and treatment of nonhuman animals in Canada. Canada has relatively weak animal welfare protections by international standards.
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訳:カナダは、国際基準より動物福祉の保護が比較的弱い。
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えー!絶対8週齢とかないんちゃう?というわけで探しに探しましたが結局見つかりませんでした。そんな議論されたニュースさえもない・・・。おまけにウィキペディアによると法律下では日本と一緒で、動物は物扱いになるとのことでした。
日本と同じか・・・と思いきや、
トロントとリッチモンドでは犬や猫をペットショップの販売を禁じているというニュースを見つけました。
オーストラリア
最後に、オーストラリアです。
探しまくったところ・・・・8週齢を明記する法律は、ありませんでした。
RSPCAというオーストラリアのスタッフ1000人規模の動物保護シェルターのwebサイトを見ると
There are no national laws applying to animal welfare, but all states and territories regulate animal welfare in their jurisdiction. The legislation in each state and territory is given below:
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訳:動物福祉に適用される国内法は存在しませんが、すべての州および地域は、管轄地域の動物福祉を規制しています。各州および地域の法律は以下のとおりです。
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と書いてありました。
で、一応目を通してみましたが、8週齢の記載はありませんでした。
まとめ
正直、今回の調査結果はがっかりでした・・・・。
本当は、「日本も真似しろー!この動物後進国がー!!」みたいな感じをまろやかに書く予定でした笑
ですので、皆さんが今回の調査内容を読んで、「はぁ!?お前は8週齢に反対でもする気か!!!」なんて誤解を決して起こさないように何卒ご注意ください。わたしは来年の動物愛護管理法で8週齢規制が明記されることを心の底から祈っています。
この際、8週齢をちゃっちゃと法律に書いて
動物先進国に躍り出ましょう!!
日本は全土で禁止でーす!!
でも、冒頭のニュースに書いてあったように「米、英、フランス、ドイツなど多くの欧米先進国は「8週齢規制」を法令で設けている」という根拠のない(ドイツ、フランスは知りませんよ)発信は、誤解を招きます。
なぜだ。
なぜ大元を調べない?
めんどくさいから端折っているのか!?
という新たな疑問に行き着いてしまいました。
にしても、調べるの疲れました・・・そんな時は甘々棒!!おすすめです笑